飛行機好きな航空ファン、パイロットに憧れる人にとっては、
空港内を颯爽と歩くパイロットの姿は気になりますよね。
そのパイロットが手に持っているのは、フライトバッグと呼ばれる、パイロットのバッグです。
バッグの中には、飛行機の運航に必要なものが入っていますが、
その他にも実はたくさんのものが入っているんですよ。
でも、フライトバッグの中を見れるのは、パイロット本人と、家族やパートナーと限られた人だけ。
この記事では、パイロットが持つフライトバッグの中身を特別に公開しちゃいます。
実は意外な物が入っていることも!
一体、何が入っているのでしょうか?
フライトバッグとは?
そもそも、フライトバッグとは何でしょうか?
フライトバッグとは、飛行機に持ち込むあらゆる手荷物を指しますが、通常はパイロットや運航乗務員が携行する特定の種類の書類バッグを指します。
wikipedia
フライトバッグ、フライトケース、パイロットケースなどと呼ばれていますが、
要は、パイロットが必要道具を入れて、仕事に持って行くカバンです。
上記写真のようなバッグを、ここでは「フライトバッグ」と言い、このバッグの中身についてお伝えしていきます。
しかし、現在は、Electronic Flight Bag(EFB)と言って、パイロットが携行する紙書類の削減で、各種マニュアルやデータ、飛行管理のアプリケーション、航空図などデジタル化した機器があります。日本語に訳すと「電子フライトバッグ」となるので、ややこしいかも知れません。。。
Electronic Flight Bag電子フライトバッグという名称も、パイロットがマニュアル本などを入れている、上記のようなバッグに由来しているようです。
エアラインパイロットのフライトバッグの中身
フライトバッグの蓋を開けると、中はこんな感じで、仕切りが付いています。
A4サイズのファイルや、ノートパソコンがすっぽり入ります。
表側にはファスナー付きのポケットが付いています。
エアラインパイロットがフライトに行く際に持つカバン(フライトバッグ)の中身は、
以下のようなものが含まれることが一般的ですが、個々のパイロットや航空会社によって異なる場合もあります。
今回は、ステイなしのフライトの時の持ち物をご紹介します。
飛行に必要なドキュメント
- パイロットライセンス
フライト前に会社や機内でチェックされることはないですが、航空法により携帯する必要があります。 - 会社のID(社員証)
会社や空港のセキュリティで提示を求められます。 - 航空身体検査証明書
パイロットライセンスと共に携帯しています - パスポートや身分証明書
国際線ではパスポートやビザが必須 - フライトログブック
便名、飛行時間、離発着などのフライトの記録を記入する物。
最近はアプリを使っているので、紙に記録する人は少ないかも知れません。
ログブックはバッグに入っていてもフライト中に書かずに、夫は家で書き写してることもありました。
何かの不具合でデータが見れなくなった時のバックアップとしても、手書きのログブックは役立ちます。
あと、他社に就職する時に、手書きのログブックの提出を求められたこともありました。
iPad などのタブレット(航空会社所有)
フライトプランや航空会社のマニュアルなど、今までは分厚い本だったものが、昨今はほとんどが電子化されています。先に書いたEFB(Electronic Flight Bag)は、機種によっては機体に搭載してあるので、持ち込む必要がないパイロットもいるでしょう。
夫の会社では、出社時にフライトオペレーションで会社のタブレットを受け取ります。
キャプテンとFO(副操縦士)それぞれ1台ずつタブレットを持ちます。
それに加えてパイロット個人のタブレットにも会社のマニュアルや運航に必要なものなどはダウンロードしてあります。
電子化が進み、分厚くて重いマニュアル本を持ち歩く必要がなくなったのは良いのですが、心配もあります。
それは、ずっと電子機器ばかり見ているので、視力に影響が出るのではないかということです。
ですが、今のところ影響はなくて、夫はアラフィフで老眼ではありますが、2.0が見えるほど視力が良いです。
20歳の頃と全く変わらない視力だよ
電子機器とアクセサリー
- 個人所有のiPadなどのタブレット(夫はノートパソコンではなく、iPad派。サッと取り出してすぐ使えるほうが良いのだそう)
- モバイルバッテリー
コックピットでも充電はできますが、万が一バッテリーがなくなった時のために - 各種ケーブル
- プラグアダプター(海外で使えるマルチプラグが一つになったものは便利)
- 腕時計(夫はアップルウォッチ)
以前はBREITLINGの時計をしていましたが、現在はアップルウォッチ一択。 - ヘッドセット:こだわる人は個人所有ですが、夫は会社の備え付けのものを使っています
パイロットの個人的なアイテム
夫のフライトバッグに入っている物をご紹介します。
- 財布
- 鍵
- サングラス
- 眼鏡:夫の場合は老眼鏡 健康証明書に老眼鏡の使用が記載されているので、携帯しないといけない
- 筆記用具:名前入りのペンや有名ブランドのペンを使っているパイロットもいます。
夫はこだわりがなく、某ホテルのボールペンが入ってます。 - メモ帳
- 口臭予防のミント
- 歯ブラシ:短いフライトでも、なぜかフライトバッグに常に入れている夫
- 香水 携帯用の香水ボトルにお気に入りの香水を入れて常に持ち歩いています。
- ペンライト:飛行機の外部点検時や暗い時に使う
- 飛行機の点検時に着用する黄色いジャケット(会社支給)
- パイロットの制帽
- 手指消毒剤ジェル
- ティッシュ
その他の必要アイテム
夫の同僚パイロットや、日本人パイロットの奥様から伺った、その他の個人アイテムをご紹介します。
- 食事:支給されない航空会社の場合は自分で用意する必要があります。
奥様が手作りされた愛妻弁当を持参する人もいます - お菓子:甘い物や口寂しい時に、飴やガム、カロリーバーなど。
夫はあまり間食しないので、家から持参することはないですが、たまにバナナは持って行くかな。 - マイボトル:お茶のティーバッグやコーヒーなどを持参
- 白い手袋:日本人パイロットの必需品でしょうか。海外で見かけることはないですね
- アイマスク
- 耳栓
- マスク:新型コロナ感染の時は必須でした
- 日焼け止め:上空の紫外線が強いので
- ハンドクリーム:機内は乾燥してますからね
- リップクリーム:唇の保湿のために
- デオドラント
- 着圧ソックス
- 下着など着替え一式:急なステイに備えて用意
- ステッカー:乗客に配るもの
- お守り
フライトバッグの選択肢
フライトバッグと言っても、様々な色や形があります。素材も異なります。
会社支給のものを使っている人もいれば、リモワなど個人で好きなものを使っている人もいます。
会社支給のフライトバッグ
会社支給のバッグは、大抵、色は黒で、前面にロゴが入っています。
みんな同じなので、ステッカーを貼ったり、キーホルダーを付けていたり、
自分のものと分かるように目印を付けています。
「Remove before flight」という赤いタグを付けているパイロットやCAは多いですね。
僕は会社支給のフライトバッグを使っているよ
LCCなど、会社支給のバッグがないパイロットは、前の会社の物を引き続き使っていたり、
年季の入ったフライトバッグを長年使っているパイロットもいます。
愛着があるのでしょうね。
夫も7年ほど同じものを使っていました。
それほど丈夫にできているバッグということですよね。
ただ、万が一、火災や墜落などが起こった場合は、燃えてしまうのかも知れません。
リモワの素材なら燃えにくくて強いのかな?
フライトバッグ選びの注意点
航空マニュアル電子化により、昔よりも持ち物が少なくなったため、コンパクトなフライトバッグを購入したことがあります。その際、夫がフライトバッグを選ぶ時にこだわったことを書いておきます。
- 鍵がかかること
- ケースや鞄は、床に置いた時に自立するもの
- コックピットの座席の横に置いて、座ったままですぐに物が取り出せること
- ポケット収納があり、物が取り出しやすい
- 2輪または4輪で、高さ調節可能なハンドルが付いている
- 強度
- 色は黒
- 一泊分の着替えが入ること
安全でスムーズな運航の妨げにならないようなバッグを選ぶ必要があります。
フライトバッグの探し方
ウェブ検索で、パイロットケース、フライトケース、フライトバッグなどで検索すると、たくさん出てきます。
素材は牛革、合皮、ナイロン素材など。
ショルダーが付いていて2WAYできるものや、収納が充実しているもの。
2輪、4輪タイプがあります。
もちろん、パイロットでなくても職業関係なくフライトバッグは活用できます。
実際実物を見て購入したほうが良いですが、夫はオンラインショップで購入したことがあります。
使い勝手は良かったのですが、結局は、会社支給のフライトケースを使っている夫。
会社支給のフライトバッグは、パイロットにとって使いやすく出来ているようです
しかし、フライトバッグ自体がとても重くて大きい。私が持つわけではないのですが(笑)
ステイの時のスーツケースと重ねられず、両方をそれぞれ持って転がして歩かないといけないので、
できれば、もう少しコンパクトなフライトバッグが欲しいそう。
空港に行った際は、他のパイロットのフライトバッグを見て、
良いフライトバッグがあれば夫に買いたいなと思っているピロコです。
パイロットが安全で効率的なフライトのために
夫が安全で快適に、そしてスムーズなフライトが行えるように、パイロットの妻として密かな心遣いをしています。
それは、フライトバッグの整理整頓をしたり、持ち物を確認することです。
毎回ではないですが、ステイがあるフライト前には行っています。
そうすることで、夫の負担を軽減できて、ストレスなくバッグの中から必要な物を出し入れできると思っています。
フライトバッグの掃除
夫がフライトから帰宅したら、玄関でフライトバッグの中とバッグの表面、ハンドル、タイヤの拭き掃除をします。
機内や空港はたくさんの人が行き交うので、除菌スプレーを吹きかけて除菌クリーナーで拭きます。
フライトバッグは蓋が閉まるのに、なぜか埃が入っていたり、ティッシュや紙屑などが入っていて、ゴミ箱がわりになってることも。特に、ステイが長かったりロングフライトの後は、バッグの中をハンドクリーナーで掃除します。
フライトバッグの中には、歯ブラシや綿棒、メモ帳やボールペンなど、ホテルの備品が入っていることも多いです。
夫、なぜか、持ち帰ってくるんですよね。。。
既に家にはたくさん予備があるので、持ち帰ってくるのは迷惑なのですが、
使い捨て歯ブラシは掃除に便利なので、いくつかは保管しております。
整理整頓
フライトバッグの中の整理整頓をします。
ペンやメモ帳、眼鏡などは、いつも同じ場所に入れておきます。
夜のコックピットや、暗くても、すぐに取り出せるように、物の場所を決めています。
忘れ物チェック
フライト前には、持ち物を確認し、忘れ物チェックしています。
夫の場合、フライトに出かける際に、充電器と財布を家に忘れることがあります。
大抵のものは、フライトバッグに備え付けなので問題ないですが、
財布は、フライトがないオフの時は外出時にポケットやバッグに入れてそのままになっていることがあります。
単純往復のフライトなら、なくても困らないものがほとんどですが、ダイバートで帰ってこれず、
急にステイになったとか、何かあった時のために、持ち物は夫とダブルチェックしながら用意します。
そして、プラグアダプターをステイ先のホテルに忘れることが多々あり、
何度、買い直したことか。。。
番外編
夫が、某アジアの国にステイして戻った時のこと。
頼んでいたお土産をフライトバッグから取り出そうとして
夫のフライトバッグから驚くものを発見したことがあります。
それは、
未使用のコ◯ドーム!
ピロコがフライトケースを整備することは、夫は知っているし、やましいことはないと思うけど。
見つけたときは色々想像してしまいましたが、思い切って本人に聞きました。
ステイ先のホテルにあったんだよ
え、ラブホテルがステイ先だったの?
海外の、普通のホテルだったそうだけど、
見つけた時は夫を疑ってモヤモヤしました。
必要ないなら持って帰らなくても良いのに、、、
使うこともないからということで、捨ててくれましたが、言わなかったら保管してそう。
まとめ
エアラインパイロットのフライトバッグの中身は、スムーズな飛行を支える必需品が揃っています。
持ち物は、個人によって多少は異なりますが、
飛行に必要なドキュメント以外は、一般の人が旅行に持って行く物と相違ないのでは。
パイロットの制服は一目で分かる存在感を持っていますし、
そのパイロットが持つフライトバッグも、パイロットの誇りと専門性を象徴していると思います。
なので、これからも夫に敬意を払いつつ、大事なお仕事道具のフライトバッグを整えていきます。